D 君と僕の原点

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笠木 凜 カサキ リン。 それが彼の名前だった。 彼は僕よりも、二個上の先輩にあたる人で、 今は高一だ。   美しい顔   華奢な体   流れるような黒髪   纏う甘い香り そんな彼に僕が会ったのは、偶然か否か。 とにかく彼がいたから、今日の僕がいるし、 僕はアソビを覚えた。 ††† 「君、早く此処から出た方がいいよ?」 図書室で閉館時間ぎりぎりまで本を読む気でいた当時中一の僕に、見慣れぬ上級生がそう言って声を掛けてきた。 「えっとー… 何かあるんですか?」 「ちょっと君には刺激が強いかもしれないからねっ 悪いことは言わない、 居ない方がいい」 「え、あっ…‥はい」 今ならわかる。 先輩は、あそこで人を待っていた。 その日の"相手"を。 でも何も知らない僕は、ただただ、よくわからない何かを不思議に思いながら図書室を出たんだ。 これが彼、笠木 凜との    ファーストコンタクト
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