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「七瀬くん、」
今度は妖艶に微笑みながら、優を呼ぶ先輩。
一方の優の頭の中には、
(そんなに
“いい”のだろうか...)
不純な好奇心。
それに気付いたのか、先輩は軽く微笑んで、優が返事をしないことさえ気にせず言葉を続ける。
「前にも、こんなこと言ったような気がするけどさ、
君は僕に似てる。」
「?」
「だから、君は僕の二の舞にはならないことだ」
「でも……」
「飢えた男は、僕らみたいなのを襲う。
僕はね、弱い立場だと見られがちな立場だけど、僕らはその主導権を握るべきだと思うんだよね、
というか、握ったら、とても楽しい、気持ちいい
わかる?」
「でも、僕に襲われる前兆は全く…
まぁ、忠告は重く受け止めます」
先輩だから控え目にそう答えたが、優の頭の中では一つの考えが。
「とか言っちゃって、
君はきっと僕以上の遊び人になるんだろうね」
†††
そう言った先輩の顔は、とても面白そうで、楽しそうで。
そんな一年前を思い出す僕の顔は、きっと先輩のそれと同じなのだろう。
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