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──次の日。
「おっせーな、いつき」
京哉は待ち合わせの駅の柱で、軽く愚痴を一人零す。
時刻を見ると、ちょうど待ち合わせの時間。
10分前にここについた京哉は、軽く待ちくたびれてきた。
「‥……きょーう!!!!」
時計を見て、ふと顔をあげれば、改札から駆けてくる長身男。
(やば、なんか、かっけー)
紫色の浴衣を纏ったいつきは、走ってきたのか少し髪が汗でついていて、色っぽい。
遅刻してきたことに文句を言おうとして開けた口からは、何もでなかった。
「ごめっ、遅れた!」
「いや、…うん。全然へーき」
いつきが謝りながら顔をあげれば、そっぽを向いて軽く頬を赤らめる京哉の姿。
纏う緑色の浴衣が、なんだかとても似合っていた。
(き、綺麗……)
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