E 花火大会

7/7
前へ
/58ページ
次へ
「ちょ、何この量!!」 「奢ったんだから文句言わずに食え!」 こんな何でもないやりとりが、今の自分には丁度よくて。 いつまでも隣に京が居てほしい。 それくらい、 思ったって自由だろう? 「おっ、花火始まるらしーぞ、」 「行くか!」 「もちろん」 「何年ぶりかなー花火」 「さぁ……」 真っ黒な空には、 真っ赤な花が咲いた。 空は一瞬輝いて、 次の瞬間には何事もなかったかのように、ただ黒を映す。 なぁ、京。 俺らはどれだけの瞬間(じかん)、 一緒に過ごせるのかな。 俺にとって、 京との時間はまるで一瞬。 気がついたら、お別れの時間。 まるで暗闇に咲く一瞬の花火のように、 君との時間は過ぎていく。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

887人が本棚に入れています
本棚に追加