F 思い込みの8人目

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【約10分後】 「──そ、そんなに慌ててどうしたんですか?」 あまりの達也の必死ぶりに驚いて、直ってきていた翔の敬語が復活してしまった。 「あ、いや、……早く会いたくて、」 きょろきょろと廊下や教室を覗きながらそう言う達也に、翔は眉をしかめた。 チャイムが鳴り終わってすぐ、いきなりの達也の登場に、クラスは軽く悲鳴。 それにプラスして、こんなセリフを翔に言っているのを聞いたクラスメートは、顔を真っ赤にした。 (なんて絵になるんだ!二人とも!) 一方の翔は、あからさまに怪しい達也に、どこか解せない表情。 「何か?」 「いや、特に何も。 ……帰ろっ、早く帰ろーぜ。」 「…う、うん。」 急いで鞄に詰め込み達也を見上げれば、視線はまた、どこか遠くの方。 翔は溜め息をついた。 「行こっ」 「っん?準備できたか?行こ」 そうしていつものように肩を並べて歩く。 心なしか、達也の歩調はいつになく早かった。 (あいつ、柳井だっけ? …あんま遠くに居てもわかんないしなぁ………) いきなり来られたら困る。 てか、絶対、翔には触れさせねぇ
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