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【約10分後】
「──そ、そんなに慌ててどうしたんですか?」
あまりの達也の必死ぶりに驚いて、直ってきていた翔の敬語が復活してしまった。
「あ、いや、……早く会いたくて、」
きょろきょろと廊下や教室を覗きながらそう言う達也に、翔は眉をしかめた。
チャイムが鳴り終わってすぐ、いきなりの達也の登場に、クラスは軽く悲鳴。
それにプラスして、こんなセリフを翔に言っているのを聞いたクラスメートは、顔を真っ赤にした。
(なんて絵になるんだ!二人とも!)
一方の翔は、あからさまに怪しい達也に、どこか解せない表情。
「何か?」
「いや、特に何も。
……帰ろっ、早く帰ろーぜ。」
「…う、うん。」
急いで鞄に詰め込み達也を見上げれば、視線はまた、どこか遠くの方。
翔は溜め息をついた。
「行こっ」
「っん?準備できたか?行こ」
そうしていつものように肩を並べて歩く。
心なしか、達也の歩調はいつになく早かった。
(あいつ、柳井だっけ?
…あんま遠くに居てもわかんないしなぁ………)
いきなり来られたら困る。
てか、絶対、翔には触れさせねぇ
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