F 思い込みの8人目

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「坂本君には昼休み丁重にお断りしたしっ、弓田君は、授業中に断っといたしっ! 富田先輩は、何かよくわからない何とか先輩に連行されてったから、多分、もう諦めただろうし、 柳井先輩には、逃げられちゃったからまた明日ちゃんと断るしっ。 あ、あと清水君なら朝に……‥」 黙る達也に対し、翔は心配げな目で必死につらつらと知らない名前を挙げていく。 (……そ、そんなにいっぱい‥) 「‥……だしっ、あの、だから、その、今挙げた中に、達也が気にしてる人、いた? 何か言ったりしてたの? もし、なんか言ってても、僕はちゃんと断ってるから!」 8人目だとか思っていた自分が馬鹿みたいだ。 よくよく考えれば、達也自身、もう数え切れないアプローチを受けてきたし。 物腰柔らかい翔が対象となれば、直接アタックしてくる奴の数なんて、カウントする方が馬鹿らしい。 たまたま、俺のところに宣戦布告なんかしてきた馬鹿が一人いただけの話で。 所詮、翔に近づけさせないなんて、無理な話だ。
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