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それでも、必死に達也だけを見てくれる翔。
男なんだから受けばかりしていると、「抱いてください」なんて言われれば靡いてしまいそうな気がするが。
そんな言葉をあっさりと何度も切り捨て、自分を見てくれる翔。
柳井だったっけ?
お前にぴりぴりして翔を不安にさせた自分が馬鹿みたいだ。
お前らなんかに、翔は靡かないよ
胸を張ってそう言える。
「翔、」
必死に俺を見るその瞳を、今度は力強く見つめ返す。
「ごめん、勝手に俺が不安がってただけ。
翔は何も心配しなくていい。」
「でも、…誰が何を言ったの?」
「もう気にしなくていい。
ていうか、翔がそんなにアタックされてるなんて、今初めて知ったよ。
なんか、嫉妬するなー」
「なっ、そんなの、達也だって…」
「お互い様、か?」
「達也も断ってるでしょ?」
「勿論。」
「もう、達也は僕を信じてくれてる?」
そうか。
翔にアタックしていく奴らにピリピリしてるってことは、
即ち、翔が靡いてしまうんじゃないかと不安になっている証拠で。
それはつまり、翔が断ることを信じていないことになる。
「ごめん、疑ってたわけじゃない。──けど、不安がどっかにあった。」
「…………」
「でも、今のでよーくわかった。
翔は俺にゾッコンってことがね」
「なっ……、」
頬を赤く染めて、口をパクパクする翔。
思わず笑みが零れる。
神経質になるのは止めるよ。
翔を信じてるからね。
けど、
ちょっとは護らせてよ?
だって、
翔は俺の恋人なんだから。
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