F 思い込みの8人目

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それでも、必死に達也だけを見てくれる翔。 男なんだから受けばかりしていると、「抱いてください」なんて言われれば靡いてしまいそうな気がするが。 そんな言葉をあっさりと何度も切り捨て、自分を見てくれる翔。 柳井だったっけ? お前にぴりぴりして翔を不安にさせた自分が馬鹿みたいだ。 お前らなんかに、翔は靡かないよ 胸を張ってそう言える。 「翔、」 必死に俺を見るその瞳を、今度は力強く見つめ返す。 「ごめん、勝手に俺が不安がってただけ。 翔は何も心配しなくていい。」 「でも、…誰が何を言ったの?」 「もう気にしなくていい。 ていうか、翔がそんなにアタックされてるなんて、今初めて知ったよ。 なんか、嫉妬するなー」 「なっ、そんなの、達也だって…」 「お互い様、か?」 「達也も断ってるでしょ?」 「勿論。」 「もう、達也は僕を信じてくれてる?」 そうか。 翔にアタックしていく奴らにピリピリしてるってことは、 即ち、翔が靡いてしまうんじゃないかと不安になっている証拠で。 それはつまり、翔が断ることを信じていないことになる。 「ごめん、疑ってたわけじゃない。──けど、不安がどっかにあった。」 「…………」 「でも、今のでよーくわかった。 翔は俺にゾッコンってことがね」 「なっ……、」 頬を赤く染めて、口をパクパクする翔。 思わず笑みが零れる。 神経質になるのは止めるよ。 翔を信じてるからね。 けど、 ちょっとは護らせてよ? だって、    翔は俺の恋人なんだから。
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