第二章

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< 体育の時間 > 男子は外で野球、女子は外でドッジボール。 < カキィーン > 男子①:「臣(じん)、そっち行ったぜー!」 莉也:「わかった」 < たたたたたた… > 莉也(れいや)は外野手だった。高々と上がった球を彼は追う。 < キラッ > 球は、太陽に反射してから見にくかった。 < ぽと > せっかくのアウトになるチャンスが駄目になる。 男子②:「あーっ!じーん~…お前なぁ…」 莉也は特に悪びれる事もなく、近くにいた男子③に投げる。 男子③:「気にすんなよ、臣」 莉也:「…特に気にしてない。…逆光で打ち上げるなんて…」 男子③は苦笑する。 男子③:「まぁまぁ…でもさ、追い付いただけでも良しとしないと!」 < バンバン > そういってから男子③は莉也の背中を叩く。 莉也は小さなため息を吐きながら持ち場に戻る。 そんな彼を遠くから見つめる女子が居た。 < ドッジボール > < じぃー… > 美穂は野球の球を取り損なった莉也を見つめていた。 < ひゅう~ > そのため、美穂は自分に向かってボールが飛んできていることに気付かなかった。 女子①:「美穂っ!!」 美穂:「ぇ?」 < ぱっ > 美穂が女子①の声に反応して振り返る。すると目の前にはボールが。 < べしっ > それは彼女の口に当たる。 美穂:「ぅぶふぅっ」 女子達:「きゃぁぁっ」 女子①:「美穂っ」 < トントト… > ボールがバウンドする。 莉也/男子達:「!?」 女子達の悲鳴に、試合を中断させる。 美穂の周りには女子達が群がっている。 女子①:「美穂…大丈夫?!」 美穂:「あいたたた…」 女子が投げたボールだったので、口がヒリヒリする程度で済んだ。彼女のかけていた眼鏡には傷一つなかった。 美穂は恥ずかしそうに口を摩(さす)り、後頭部に頭を押さえながら照れ笑いをしていた。 美穂:「…あはは…『また』やっちゃった」 女子達は心配しながらも笑っていた。 女子①:「も~…心配するこっちの身にもなってよね…」 女子①がそういって肩を落とす。
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