プロローグ

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黒服:「……………」 そんなリザロブの表情を見た黒服の男は、肩を落としながらため息を吐く。 黒服:「はぁ…君のそんな表情を見たことがない…ボクの知るリザロブは…『自信に満ちた傲慢(ごうまん)な男』だったよ」 その言葉にリザロブが苦笑する。 リザロブ:「…何年前の話をしてるんだ」 黒服:「え?…『10年前』ぐらいかな?」 リザロブ:「…お前…」 リザロブが呆れ返る。 < …ニコッ > リザロブ:「?!」 リザロブが呆れ返るのを見た黒服の男は優しく微笑む。 黒服:「…君にはその表情が似合うよ。今の君は…」 そういって、黒服の男は目を細めながらリザロブを見る。 黒服:「…とっても…『哀しそう』だ」 リザロブ:「……確かに、今の俺は楽しくはないよ」 リザロブは黒服の男との先が見えない会話にうんざりしてきた。 シルフィリアを…『封印』した彼の胸は、ポッカリと大きくて癒えない穴が出来ている。 リザロブ:「…………」 リザロブは哀しみを帯びた目をして笑う。 黒服:「…リザロブ…」 黒服の男は沈みきった彼の心をどうにか持ち上げようと、明るく彼に声をかけていた。だが、その表情を見た途端、黒服の男の顔色を変える。 穏やかな顔つきから、最初に姿を現した時のような冷たい顔つきをしている。 黒服:「…リザロブ…君も…その『氷結の魔女』のようにしてあげようか…?」 黒服の男の言葉にリザロブは目を大きくする。 少ししてから彼は頭を振る。 リザロブ:「いや…いい。俺は彼女を守る義務がある。…俺まで凍ってしまったら…彼女を元に戻せない。もし、お前が『あの魔法』を扱えるとしても…『完成するとは限らない』」 < グッ… > リザロブの言葉に黒服の男は手を握りしめる。 彼はリザロブとの付き合いが長かった。 リザロブが何を考え、何を思っているのか分かるから…悔しかった。 黒服:「…ボクには…君を救えないのかい?」 < ニコッ > リザロブは微笑む。
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