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< 数日後 >
< 道 >
少女は学校帰りの帰宅途中だった。
通学路には一つの寺がある。そこには『白黒の大きな花』が置かれていた。
少女:「うわぁ…」
好奇心が旺盛な彼女は、寺の門から顔を覗(のぞ)かせていた。
門からの道を真っ直ぐに抜けたところから寺の境内(けいだい)が見える。
そこには白くて小さな箱がポツンと置かれている。
< コツン >
少女は自然と中に導(みちび)かれていく。
?:「なーむーあーみだーぶーつーなーむー」
境内からは僧侶の声が消えている。
少女:「…?」
初めて聞く不思議な音と言葉に、彼女は鞄(かばん)を置き、靴(くつ)を脱いで境内の中に入っていく。
僧侶:「……………」
僧侶は一通りのお経を唱えてから、境内から離れ、少女と入れ違いになる。
< 境内 >
< ポツン >
少女は正座し、僧侶が座っていた場所に腰を下ろす。
彼女は白い箱を見下ろす。
その白い箱の中には、『骨』が納められていた。
少女はきらびやかな仏像や、飾りに見入られていたので、背後から近づいてくる僧侶に気付かなかった。
僧侶:「…お嬢ちゃん、その方に手を合わせてあげてくれないかな?」
少女:「ぅきゃっ」
少女は慌てて後ろに振り向くと、彼女に優しげな笑みを向けていた僧侶が居た。
< ドキドキ >
驚きで高鳴る胸を押さえながら彼女は僧侶を見上げていた。
僧侶はスッと少女の隣に座る。
僧侶:「…この方は…『無仏』と言って…名も知らない方…昨日、道で傷だらけで…冷たくなっていたんだ…」
< ふっ >
僧侶は哀しい表情で笑う。
そして、彼女の頭を撫でる。10歳ぐらいの少女でも、わかりにくい話だった。
それでも少女は僧侶の表情からとっても辛くて哀しい事だとわかった。
< コクン >
少女は小さく頷く。
少女:「うん。…よく分からないけど…こうやって手を合わせればいいのかな?」
そういって手を合わせた時、彼女の視界に見たことがある物が目に留まる。
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