🍀始まりの矢🍀

『誓いの墓標』（弥勒＋蛇骨）〓最終回ネタばれ注意〓

　
「へぇ？経なんかあげてくれてるのかい？」
「！！！？」

背後に降り立った気配と声に弥勒は振り向いた。
「なっ…！！？」
目に映るその者の存在に
弥勒はうまく言葉が出なかった。
口をパクパクさせている様子にその者も目を丸くした。
「あれ？おめぇもしかしておれが見えるのか？」
紅をさして着物を着崩しているその男に
弥勒はようやく言葉が出せた。
「…っ蛇骨！？何故また現世に…」
そう、この地で２度目の深い眠りにつき
地獄でも騒がしくやっている筈の男…蛇骨がそこに在た。
「蛇骨！おまえまた誰かに…」
そう言って蛇骨の肩を掴もうとしたが…

スゥ…

触れることは叶わずすり抜けてしまった。
「え…？」
それを見て蛇骨は苦笑いをした。
「…やだな～、もうおれ死んでんだってばー。」
四魂の欠片の力を借りたものでもなければ
墓土でできた紛いものの身体でもない…
言わば今の蛇骨は霊魂だけの存在だった。