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「さすが妹だな……俺の傷付く所をよく知ってるよ……」
「カイン様……」
「さ、着替えて学園に行こうかな」
カインは何食わぬ顔で自室へと歩いて行った。
しかし、カグヤは見逃さなかった。
カインが強く拳を握っているのを。
カグヤは奥歯を噛み締めると、カインの後ろ姿を追った。
カインは、中は広いが質素な部屋へと戻ると着替えを始めた。
この時、さすがにカグヤの姿はない。
彼は今年で十七歳。
学園でいう高等部二年になった、しかし、学年で制服は分類されない。
ギルドランクで制服のローブの色が違う。
そして、カインのローブの色は最下級である黒だった。
この色はほとんどの中等部一年も同じ色を着る。
つまりは十三歳がギルドに所属し、初めて貰えるローブと同じ色だ。
ローブの色というのは、どこでも聞かれるものだった。
この社会にとって、自己紹介にしろ何をするにしろついて回る、自分を紹介する内の最重要項目の一つである。
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