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カインは俯いたまま、その空間――訓練所を後にした。
魔法ができない
この時代、実力で人の見る目が変わるような社会にとってそれは致命傷といえた。
いくら身体能力が高くとも、相手に身体能力上昇の魔法を使われたらどうしても負けてしまう。
実際カインは、人より優れた身体能力を持っていた。
しかし、戦闘訓練などで一度も勝てることはなかった。
誰にでも魔力は生れつき備わっている。
カインもまた例外ではなかった。
それどころか、魔力だけなら常人の倍、数十倍もある。
それでも使えない魔法に、魔力は意味のないものだった。
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