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「先生……ありがとう」
こんな自分に対して泣いて謝ってくれる存在に、カインは心の底から感謝した。
「カイン、探そうぜ。新しい魔法をな。ほら……いつまでもメソメソしてんなよ先生」
「…………うるさい……カイン、手伝えることがあるなら手伝うからな、すぐに言ってくれ」
「二人共……ありがとう……」
何千何万分の一、いやそれ以上の確率だろう。
カインはこの実力主義の世界で、実力以外のものを見てくれる人にまた出会えた。
「それじゃ私はもう行くからな」
フラウールはドアに向かって歩き出した。
否、壁に向かって。
「痛っ!」
フラウールが壁に頭をぶつけ、鈍い音がする。
「クスッ……」
カインはベッドから降り、自身の怪我の痛みを我慢し、フラウールの怪我してない方の手を握った。
「ほら、先生。自分で眼鏡握り潰したでしょ?どこまで行くんですか?」
「~~~~~っ!…………………………しょ、職員しちゅ」
フラウールはカインに手を握られ、その気持ちがわからないまま、顔を真っ赤にし、二人は歩き出した。
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