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呑気にしていたカインを余所に、教室に渇いた音が響く。
騒いでいた生徒達も静かになり、音に反応する。
そこには、手を振り切ったフラウールと頬が少し赤くなったエリザリーネがいた。
「何を言ってるんだお前は!!仮にも学級委員長だろう!?それが言う言葉か!?」
エリザリーネは頬を抑え、俯く。
フラウールは、カインが馬鹿にされたから怒ったというより、昔の自分を見ているようで、無性に腹がたった。
そして、エリザリーネよりももっともっと苛酷な生活を送ったフラウールだからこそ言える言葉だった。
「お前は強さを何もわかっていない……」
フラウールはエリザリーネを一喝すると優しく言葉をかける。
「もし……もしも、今の心をもって昔に帰れるならば……今の数倍強いだろうな」
「そ、そんなこと……」
エリザリーネは反論しようと、顔をあげるが、すぐにまた下を向いた。
今もまだ目標にも関わらず、フラウールの発言は少しカンに障る。
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