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カインとフラウールが教卓に着く頃、エリザリーネは一枚の紙を手にしていた。
「……ステドール一匹の依頼か」
ステドール、一本の足、一つの大きな目を持ち、複雑なステップを機械的にこなす魔物、対一ならあまりてこずることはない。
フラウールがそう呟くと、エリザリーネが顔をあげる。
「それでは、先生。行ってまいります」
フラウールは無言で頷き、エリザリーネを送り出した。
しばし、フラウールはエリザリーネの背中を見ていたが、カインに向き直る。
「さて、カイン。依頼を選ぼうか!」
「そうですね」
教卓に無造作に置かれた紙をZランクだけ取り除く。
内容を見ると、見回りの依頼ばかりであった。
なぜ、国内に依頼がこうもあるのか。
あまり戦えない住民達とZランク達の見回りのおかげなのかもしれない。
いや、平和ではない時代のせいと言うべきか。
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