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「おおよそ、今年の一文字は『殺』でしょうな。」
と、天皇。
「いや、おおよそではなく確実。ですよ」
この言葉に合わせて部屋に二人の笑い声が響いた。
すると間もなく部屋の扉が開いた。
扉の向こう側にはいかにも無口そうな人が立っていた。一目で硬派と分かるような。
その男が口を開いた。
「只今、凶悪犯罪者リストを持って参りました。」
そう言いながら二人の目の前にリストを置いて、部屋を去って行った。
出て行ったのを確認すると、天皇がそそくさとリストに手を伸ばした。
「おお、どれどれ。」
今年のリストは例年と比べ、少し薄かった。
リストに記されている人数は全てで7人。この中から四人を選ばなくてはならなかった。
今年のリストは薄い割に例年以上に決めるのが難しい。
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