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「どうした」
「いいえ、何も」
ギュッと、僕は後ろから亮を抱き締めた。
シャンプーの甘い香りが鼻をくすぐり、亮の青い髪がさらに首をこしょぐる。
だけど今はそれさえ気持ちよくて、温もりを感じながら目をつぶった。
「幸せだ…」
亮の病室の中に爽やかな風が吹く。
それに加えさす太陽の日差しはとても心地よくて。
「こんなことで幸せなのか」
「りょ」
亮が生きて、動いてる。
一度大切な人を失ったが帰って来てくれたこの幸せを噛み締める僕に、亮は振り返って軽く口付けた。
まるでマシュマロのような柔らかい唇がふれて、僕の心音は一気に高鳴った。
「…愛している。」
「亮っ……」
だからもっともっと幸せにしてやる。だからお前ももっともっと幸せにしてくれ。
頬を少し染めて言う彼に、僕はとびきりの笑顔で頷いた。
end
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