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「十代が好きだから……」
だから殺した、愛しい人。
床に転がる十代は微笑まずただ床に突っ伏している。
それがなんだか面白くて笑いが込み上げてきた。
蹴飛ばしてやろうか、なんて考えたり。
「好き、好きだ十代」
冷たくなりかけている愛しい人。
十代の側にしゃがみ込んでそっと十代の顔を抱き締めた。
うつろな目。
血を唾液と一緒にたらす唇。
そして十代の血で汚れる俺の躰。
ああ、何もかもが愛しい。
なのに、
「変な噂を聞いたんだ。お前が俺に隠れて違う奴と付き合っている、という変な噂」
だから確かめようとお前を部屋に誘って尋ねたのに。
「お前は否定しなかったから」
隠し持っていた果物ナイフで十代の心臓をヒトツキしてやった。
「偽りの愛なんていらないんだ」
血の味のする唇にそっとキス。
死んでから今度こそ、俺を愛して。
end
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