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白い肌。
透き通るような蒼い髪。
小さなピンク色の唇。
まるでサファイアが嵌め込まれたような蒼い瞳。
俺と同じ色なのに、彼はあまりにも美しかった。
だから、
「ヨハ、ン……?」
「なぁ亮……」
日本の昔話に、美女の血を浴びて美しさを保っていた人がいたんだ。
美女を掴まえては竹を腹に突き刺し、血はその竹を伝い流れ出す。
そしてその血で身体を満遍なく洗う。
地獄絵図のようなその光景から千鬼姫は美しさを保っていた、その血を流す女の美しさを手に入れていった。
なら
「亮の血を浴びたら綺麗になれると思わない?」
カタカタと震える亮の肩。
怯える顔もまた綺麗だ。
「あの十代さえ惚れた顔だ、綺麗にならないハズがないだろ?」
「バカを……バカを言うな!俺の血など浴びても何もならん!」
―――やってみなきゃわからない、竹はないから鉄管でいい?
狙った場所は動脈のある部分。
吹き出した血は俺の全身を滴り濡らした。
end
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