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前略、俺。
ただ今告白されてます。
「好きです。付き合ってください」
スラリとした顔立ち。
爽やかそうな立ち振るまい。
にこやかな笑顔に誠実な声音。
学校中にファンを持つと噂されるこの人物、中宮砂苑(なかみや さおん)は、真っ直ぐ俺(こと、佐上明良(さがみ あきら))を見つめて恥ずかしいセリフを真顔で言い切った。
あまりに真っ直ぐな視線なものだから俺も目をそらせなくて、結果として首が痛い。
中宮の身長は、百七十をいくつか越えたところだろう。
対する俺は百五十前半。
…どうせ俺はチビだよ!
それはともかくとして。
おかしいところは、ないはずだった。
俺が男でなければ。
――中宮が女でなければ!
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