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ジルバの発した言葉がフリムス全体に響き渡るまでの………二秒程、その僅かな時間の間に奴は既にフリムスを自らが放つ異質なオーラで満たしていた。
またジルバの脳内も目まぐるしく動いていた。
(それにしても…あの異形な姿………、わしも長年生きてきたが…これほどの邪悪なオーラを放つ者と対峙するのはあやつ以来じゃな…)
だが………数秒後、ジルバの思考は突如として遮られた。
次の瞬間ジルバの瞳に映ったのは、ほんの数秒で手と足が届く位置まで飛んできた奴の姿だった。
(なんという………スピード!)
一瞬にしてジルバに間合いを詰めた怪物は、驚愕の表情を浮かべる。
ジルバは恐れる素ぶり一つ見せず、それどころか不敵な笑みを見せた。
体の真下まで迫ってきた怪物のタイミングに合わせるように、ジルバは右手を奴の顔に向け、閉ざしていた口を開いた。
「何者かは知らぬが………人にものを尋ねる時は…まずは自分の名を名乗ったらどうじゃ……? 」
右手から放たれた光は顔面に直撃し、次の瞬間フリムスの遥か上空には吹き飛ぶ怪物の姿があった。
その姿を見つめながらジルバは、その手を慣らすかの様にぶらぶらと振っていた。
「口より先に手が出るとは………まだまだ若いのぅ………、それとも自分の実力に余程の自信があるのか………」
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