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上空を眺めていたジルバは何か異変に気付いたのか、目を凝らす様に手を額に付けた。
(姿が………消えた? )
自らの思考を制止したのか、その老体を後ろに向けようとした。
だが振り返ろうとした瞬間、背後からのあまりの寒気とゾッとする様なオーラを感じ、思わず体を震わせた。
「それは失礼………貴方程のお方にこの話を聞いて頂く為には、まず私の実力を見せる事が必要だと感じたもので………」
ジルバは声の居場所が手に取る様に………感じたのではなく、感じざるを得なかった。
真後ろからの声に反応したジルバは、急いで振り向き直そうとした。
「まずい………間に合わない………!」
数秒後、怪物の腕とジルバの素早く伸ばした腕は交錯し、光はフリムス全体に広がった。
人気の無い村は二つの強大なオーラが混ざり合い、独特の雰囲気に包まれていた。
ジルバの脳内は未だかつて体験した事の無い恐怖・焦燥感に満ちていた。
(まずい………これ以上こやつとこの地でやり合う訳には………)
怪物の胸中は穏やかではなかった。ゾクゾクと感じる、ジルバの底知れぬ実力に興奮を抑える事が出来なかった。
「貴方の様な方とやり合う日を待ち望んでいた………!この世界の新たな創造主となる……私の名は………ゼウス!」
まばゆい程の光が二人の交錯と同時に溢れ出し、フリムス全体を包み込んでいった………。
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