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真っ白な空間に姿こそないが、ジルバの放つオーラは充分この空間を支配している。
「まったく………くだらん事をぬけぬけと………、自らの邪悪なオーラを堂々と垂れ流しおって………。ゼウスと言ったな? そろそろ………目的を話したらどうじゃ? 」
ゼウスは突然両手の奮えを止め、今までの表情とはまた違う神妙な顔つきを見せた。
空間内は一瞬で張り詰めた空気へと変わり、その緊張感を真っ先に感じたジルバは姿を消しているものの………じりっと後ずさりをした。
ゼウスは姿を消しているジルバの位置を知っているのか、ジルバの居る方向に向き直し、不気味な笑みを浮かべた。
「ジャン………ジャン・フックという人物をご存知ですよね………? 」
ゼウスが不意に言い放ったその名前は、ジルバの思考回路を一瞬にして停止させてしまった。
姿を消していたジルバも思わず………その姿を現した。
緊張の糸が断ち切られたかの如く、ジルバは言葉を失い、中々頭の中で浮かび上がる文字を言い表す事が出来なかった。
数秒後………落ち着きを取り戻したかと思えば、ジルバは怒気が混じった声をゼウスに放った。
「貴様………何故その名を………!」
睨み合う二人の姿はまるでこれから起こるであろう、激戦の日々の前触れにも思えた。
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