24人が本棚に入れています
本棚に追加
「何、あれ……?」
「皮剥ぎだよ。お前も俺の真似してみろ。」
そう言って永斗は早速、近くの牛の元へ近寄る。
鎌を入れたのを見て、敦志は本格的に気分が悪くなった。
「オレには出来ない。」
「甘ったれんな、やるしかねえんだよ。」
無理矢理手を掴まれ、そのまま敦志の手の中にあった鎌から何か感触を感じた。
「……っ………」
そのまま敦志は手を離し、川で吐く。
「おいおい、大丈夫かよ?」
背中をさすってくれる彼の手さえも穢れている気がして、敦志はもう一度胃の中のものを吐き出した。
「落ち着いたか?」
しばらく川のほとりで呆けていた敦志に永斗が近付く。
「来んな!」
「何で?」
「……死体なんか、オレには無理だから。」
はあ、と息をつくと、永斗は構わず敦志に近付く。
「良いか、これが俺らの仕事なんだ。」
「……無理だって。」
「非人手下くらったてめえを恨みな。」
本当はいつだって、ずっとずっと恨んで。
それでも自分は違うって。
―――そんなことはなかったのに。
.
最初のコメントを投稿しよう!