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――……あの日………
自分たちに落ち度はなかった。
今でも胸張ってそう言える。
徒士は組に属する。
簡単に言うと、徒士頭の下に二十組あり、そして各組毎に二人の組頭、その下に二十八人の徒士衆がいる。
敦志は徒士衆の一人であり、あの日、失態を演じたのは組頭だったと記憶している。
それがどんな失敗だったかまでは覚えていないし、当時理解すら出来ていなかったと思う。
とにかく彼らは責任を問われ、御家断絶との処分だった。
『お前らの家なら惜しくもなんともないだろう。』
通達に来たのは皮肉にも組頭張本人で。
『しかし!』
『しかし、何だ?文句あんのか?』
『断絶というのは……!』
『お前らの家なら惜しくもなんともないだろう。』
耳にこびりついて離れない。
何年も何年も前の話だが、未だに焼き付いている一言だ。
『ごめんね。』
母の頬を伝う涙に手を伸ばす。
オレ、頑張るからさ――……
その夜、入水自殺を図った両親は幸か不幸か失敗した。
それは重い重い罪であり。
彼ら二人は非人手下を受け、非人への身分格下げ。
どこかへ連れて行かれてしまった。
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