3章

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――……あの日……… 自分たちに落ち度はなかった。 今でも胸張ってそう言える。 徒士は組に属する。 簡単に言うと、徒士頭の下に二十組あり、そして各組毎に二人の組頭、その下に二十八人の徒士衆がいる。 敦志は徒士衆の一人であり、あの日、失態を演じたのは組頭だったと記憶している。 それがどんな失敗だったかまでは覚えていないし、当時理解すら出来ていなかったと思う。 とにかく彼らは責任を問われ、御家断絶との処分だった。 『お前らの家なら惜しくもなんともないだろう。』 通達に来たのは皮肉にも組頭張本人で。 『しかし!』 『しかし、何だ?文句あんのか?』 『断絶というのは……!』 『お前らの家なら惜しくもなんともないだろう。』 耳にこびりついて離れない。 何年も何年も前の話だが、未だに焼き付いている一言だ。 『ごめんね。』 母の頬を伝う涙に手を伸ばす。 オレ、頑張るからさ――…… その夜、入水自殺を図った両親は幸か不幸か失敗した。 それは重い重い罪であり。 彼ら二人は非人手下を受け、非人への身分格下げ。 どこかへ連れて行かれてしまった。 .
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