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その後、兄弟で親戚中をたらいまわしされた後、最終的に辿り着いたのは、親戚の親戚である上級武士の家であった。
最初の内こそ、三食出してくれ、布団も貸してくれた。
しかし、それは最初だけであり、少し経った頃からいびりが始まった。
その家の子の自尊心を高めるためであろうか、事あるごとに怒鳴られ、とうとう食を抜かれた。
その内におつかいを頼まれ、出掛けている間に閉め出され、野宿をする羽目になった。
『僕、お腹すかないから――…』
弱々しくそう口に出すことでしか、危険信号を発せなかった弟を抱きしめ、敦志は決意した。
しゃーないな、と呟いて。
思えばまる五日間、何も口にしていない。
とにかくしょうがなかった。
そうして敦志は近くの家に忍び込み、芋を両手いっぱいに抱えていたところを見つかり。
15歳以下の宿無しの窃盗は非人手下の対象となり、両親と同じく彼も非人となりさがった。
弟がいるんですと何度も何度も訴えたが相手にされず。
当時九つの弟は天涯孤独となる。
今はどうしているのだろう
まだ、生きているのか
もう、死んでいるのか
「永士―――……」
そうして呟いたきり、彼は仰向けに転げた。
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