3章

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「わりい、言い過ぎたか?」 急にごろんと横になった敦士を見て、永斗は少し焦る。 元々人の顔色をうかがうタチではないのだが、なんせ事が事だし、もしかしたら言ってはいけない気がしないこともない。 「悪かったって。俺にはよく分かんねーからさ。」 永斗は生まれた時から非人だった。 非人同士が結婚して生まれた子どもも非人。 非人であることを憂いているような暇はなく、むしろ誇りに感じながら生きてきた。 賤民ごときに何の誇りがと、敦士も初めに問うたのだが、永斗自身にもよく分かってはいなかった。 しかし、武士に誇りがあるように、俺にも誇りがあるんだと、胸張って言った永斗を見て、敦士はある程度不安が解消された。 ――頑張って生きるって決めたのに。 殺されなかっただけ、ましじゃないか。 生きていればいつか会える。 そう信じて敦志はこの非人小屋まで来たのだ。 ――…もう、だめかも…… その夜、敦志は脱走した。 .
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