3章

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そして次の朝、道端で寝ていたところをあっさりと見つかり、連れ戻された。 その境遇を不憫に思ってか、非人頭は何も言わず、身柄を永斗に引き渡した。 年が近いこともあり、ここでは永斗が敦志の身元引受人なのだ。 「何?死んでも良いわけ?」 家に入って第一声はそれだった。 「知らねえなら教えてやるけどよ、宿無し非人が元いた場所から3回脱走すると、死刑なんだよ」 「オレ、ここに家あるし。」 「俺がお前追い出したらどうする?」 話の方向が少し、おかしかった。 「何でそうなるわけ?」 「お前がまだこの状況を受け入れない、受け入れたくないってなら俺はお前をここに置く気はない。どこへでも行けよ。」 「……それが永斗の矜持?」 「そーかもな。」 一つ息をついて敦志は座り込んだ。 「ごめん。」 「…………」 言葉は返ってこなかったけど、永斗の気はおさまったようだった。 .
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