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「そんなに死んだ牛が嫌なのか?」
「仏教も神道も、殺傷と血は穢れたものだと……」
「俺ら自身が穢れてんだから良いじゃねーか。」
「……………」
口をつぐんだ敦志に向かって唾を吐きつけると、おもむろに立ち上がる。
「お前、腕はたつのか?」
「?稽古を怠ったことはないよ。」
つい先日、永斗が目を覚ますと外に人影があった。
盗る物もないし、放っておこうかと思ったものの、隣に敦志の姿はなく、はっと起き上がると扉をそろそろと開けて、人影を確認する。
―――敦志だった。
脇差しさえも許されていない非人の身分で、木の棒を刀に見立てて振っている。
しばらくするとそれを置き、身のこなしを確認していた。
素人目に見ても、強いだろうことは理解できた。
「付いて来いよ。」
「……今度はどこさ?」
「武士のお前にぴったりの仕事、ありそうだから。」
あえて『元』は、つけなかった。
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