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「柊之のおっちゃん、永斗だけど」
「お、敦志もいんじゃん。まあ入れや」
永斗に引っ張られて来たのは、昨日がっぽがぽよと握りこぶしを見せてきた男の家だった。
「狭いとこですまんな。座るもんもねーけど、とりあえず座れや」
「ありがとさん」
「ありがとうございます」
どかっと座り、くつろぐ永斗と対照的に、敦志は背筋を伸ばし、身構える。
何の意図があってここに連れてこられたのか、まったく見当もつかなかった。
「ときに、おっちゃん。こいつのことで相談があるんだけど。」
ぐいと視線を向けられてもなお、何を言われているのか分からない。
――いや、仕事とか言ってたな
「こいつ、死んだ馬とか駄目なわけ」
何の話かさっぱりというところは、柊之も同じらしい。
「おまけに、同心にゃ踏み倒される始末」
それでもまだ、ぽかんとした面下げている二人を一旦見やり、軽くため息をつく。
そして、静かに呟く。
「俺がこれから言うことは、他言無用に願いたい」
「お、おう」
永斗の威圧感に圧されつつ、慌てて頷く柊之を確認し、口を開く。
「こいつは、武家のもんだ。」
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