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「お前も武家のもんなら分かるやろ?」
そう、次男坊は出世が望めない。
無論、次男坊に限らず三男、四男もであるが。
「お家継ぐんは兄貴やて決まっとったし、俺らは養子に入るだけ」
自分のとこよりも格上の家に入る事は、ごく稀であった。
「ま、こっちも気負いなしにあれこれやんちゃ出来るわな」
というわけでこの性格だ。
ならず者とつるみ、足を突っ込み、挙げ句の果てに非人手下。
「まあ実際、こっちの生活の方が楽しゅうてしゃあないしな」
「……はあ………」
そう、考えれるマサが羨ましかった。
「で、永斗の奴が何でお前をここに連れて来たか分かるか?」
「出自が似てるから?」
「そうやない」
はあ、とため息をついて、マサは腕を組む。
「同心に金もらえねえ、血は駄目だと言う。けどな、お前にも出来る、つか俺らにしか出来へんれっきとした仕事があんねや」
訝しげに眉をひそめると、彼は口角を上げて笑う。
「ここじゃ、脇差しすら禁止されとるけど、俺らはあるもんを握ったことがある。おまけに鍛錬も受けている」
「――…刀……っ!」
「せや。市中警護って知っとるか?」
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