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「おう、お帰り。今日は何やってきたんか?」
集落のような場所に、一人の少年が入ってくる。
それを見つけた男が、川の水がたっぷり入った桶を両手に持ったまま、声をかけた。
「同心の付き人。三人くらい押さえてきた。」
「良い金になったんじゃないのか?」
「……もらえなかった。」
少年の少し曇った顔に気づき、男は無理にでも笑顔を向ける。
「まあしょうがないな。俺らが稼いでやるから安心しろって。」
「……ごめんなさい。」
「謝るとこ違うだろ。しょうがないんだ、『ひにん』なんだから。」
『ひにん』――……
『非人』―――……‥
この存在を、一体どのくらいの人々が認めているのだろうか。
――…時は幕末。
場所は江戸。
これは非人と呼ばれた彼らの、不器用にそして必死に生きた、その記録か―――……‥‥
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