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小学生の頃は毎日がパラダイスだった。
よく校庭の隅に半分だけ埋められてるカラフルなタイヤがあっただろう。
あたしはあれを踏み台に〇〇ごっこ(毎回違う)っていう妄想の世界に浸るのが好きなちょっと痛いめのガキだった。
半分埋められたカラフルタイヤは意外と弾力があり、小学生のあたしは毎回空飛べるんじゃねぇかってくらい跳ねた。
ちなみにこのプレイはひとりきりで行う。
その日もおままごとごっこをする女子達を尻目にあたしはひとりでサイヤ人ごっこをしていた。
サイヤ人にはまず鉄棒で布団干し状態を何十秒かキープしてから逆上がりしてを繰り返す。
サイヤ人ヘアーの完成。
あまり崩れないうちにタイヤへ移動。
「カカロットぉぉぉー!!!」
確かあたしは悟空の設定なのに自分で自分の名前を呼ぶ醜態。
そして事件は起こった。
いつものようにタイヤに乗って跳ねるあたし。
何を思ったのがいつもより強く飛んでやろうと踏張りジャンプ。
そりゃもう見事なダイブTO地面。
あまりの凄まじい転び具合に先生がダッシュで寄ってきた。
全身擦り剥いたらしくヒリヒリする体。頼む、仙豆をくれ…。
でも先生がくれたのは絆創膏ひとつだった。
あたしがサイヤ人だったら多分瞬殺していたと思う。
これが元であたしはタイヤジャンプはやめた。今もあれを見ると何とも言えない嫌悪感がこみあげる。
玩具に潜んだ驚異を皆知らない…。恐すぎる教育現場の実態を見た。
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