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中学生の頃の妄想。
大失恋を味わった俺はひるむ事なく妄想の幅を広げた。
もう漫画に思いを託す時代は終わった。
俺は忍者になった。
しかもあれよ、普段は普通の女子中学生。でもいざとなれば軽い身のこなしで敵を欺く、くのいち!
いつしか俺のしゃべり方は時代劇風になっていた。
ちなみにるろ剣見たいなござる口調ではない。
「そうであったか」とか
「ほう、して、そやつは…」
とか
ちょっと知らない奴が聞くとただのじじいしゃべり。
しかし当時の俺は痛いとは思わなかった。
新しくできた本屋にて。
ニューオープンという事で忍者の俺は偵察にがてらジャンプと文庫本を買いに行く事に。
ついでに忍者言葉を学ぶ為、るろ剣を立ち読み。
会計にむかう。
店員「~円になります。」
俺「うむ。」
店員「~円お預かりします。」
俺「うむ。」
店員「カバーはつけますか?」
俺「え、あ、あむ。」
やっべwww予想外www
カヴァーなんかつけんのここ!?
「ああ」と「うむ」の見事なミスマッチに店員きょとん顔。
俺「つ、つけてくだせぇ」
何?俺?江戸っ子?
てんぱりすぎて凄まじい言葉使いになる俺を店員は不信そうにチラ見しながらカヴァーをつけてくれた。
本当の忍者だったらきえたかった。
それ以来俺はくのいちを辞めた。
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