暗転、そして急転

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      そこは奇妙な匂いで充満していた。お香でも焚いているのだろうか。 余計に、他とはどこか違う店といった印象を与える。       龍野は、初めて遊園地に来た子供のようにキョロキョロと落ち着き無く周りに目を走らせ、広い店内を猫のような気紛れさで歩いた。       大量の本が並んでいる棚があった。   メンタルケアの本から、ドラッグについてまで、様々だ。 暗めの照明が異世界のような雰囲気を際立たせていて、犯罪めいている。   有名な映画監督の著書を何気なく手に取り、閉じたり開いたりしてから元の位置に戻した。       本以外にも様々なものがあった。帽子、服、ポスター、CD、玩具、それにどこに置いてもしっくりこないようなオブジェまで。 雑貨屋を通り越してゴミ捨て場のようだと龍野は思った。      
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