暗転、そして急転

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      青い小瓶が目にとまった。 透き通るような色の器の中に何か液体が入っている。 その背後には、丁度その瓶が入りそうな小箱が並んでいた。多分あの瓶は、それらの箱の中身のサンプルだろう。       側にあったポップには静けさを感じさせるレタリングでこう記されていた。       香水です。気持ちを落ち着かせます。       ふぅんと呟いて瓶を取り上げた。 蓋を開いて鼻を寄せる。途端に広がる涼しげな香り。 無理矢理言い表すならミントの香りが近いかもしれないが、それよりは余程甘さを含んでいた。 龍野がなかなか好きな香りだ。       「ご入り用ですか?」       急に背後から声をかけられ、龍野は大きく体を震わせた。      
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