暗転、そして急転

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      とりあえず行動に移すのは後回しにし、周囲に目を走らせた。       退屈そうに売り物の帽子をいじる客と店員以外の人物は見受けられない。     どうやら今店に来ている客は、自分を含め三人しかいないらしかった。そして店員も二人。   合計五人で相当少ないが、小さな店である。この程度がちょうど良い気がした。      そう思いながら何気なく視線を横にやって、そこに置いてあったオブジェにギョッとした。       また骸骨だった。それも首から上だけではなく、きっちり全身が作られていた。 龍野より背の高い骸骨は、その手に偽物の槍を持ちながらニタニタ笑っている。      まるでその骸骨に本物の意志があり、受験に落ちて自暴自棄になっている龍野を笑っているようだった。 そう思えば、聞こえるはずのない笑い声が聞こえた気がして龍野は舌打ちする。       
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