暗転、そして急転

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    自暴自棄になっている自覚はあった。しかしそれは自分だけが知っていればいいことだ。     骸骨に手を伸ばした。肋骨を強く掴む。表面は冷たくなめらかだ。プラスチックに白で色付けしたものだろうか。     龍野は香水の前に陣取る男を目で確認した。       そして腕を強く引いた。 骸骨はぐらりと大きく龍野の方へ傾く。それをかわして、龍野は倒れゆく骨をじっと見つめていた。 骸骨は床に倒れ伏す前に、龍野の背後に合ったラックにぶつかって支えられ斜めになったまま止まった。     その時結構な音を立ててぶつかったので、龍野はまた注目を浴びた。 まだ帽子を選んでいる女性は驚いたように龍野を見た。     当然、香水売場についている愛想笑いの下手な男もだ。  
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