暗転、そして急転

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      龍野はすぐにその場から離れた。傾いた骸骨が憎らしそうに龍野を睨んでいる。無視をして横目で店員をうかがった。       店員は、まさか龍野がその場を整えずに去ろうとするとは思っていなかったようで、暫時ぽかんとしたかと思うとすぐに忌々しげな舌打ちをする。     そしてちらりと香水を確認してから、なるべく早く済まそうとでも言うように急いで売り場を離れた。 龍野の口元は無意識に持ち上がった。       店から逃げるフリをするために一気に入り口付近まで駆けてきた龍野を、確認しようとする人物はいない。 もうとっくに逃げ出したと思われているのだろう。 龍野はなるべく身を小さくしながら、物陰に隠れるように歩いた。      
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