暗転、そして急転

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    動悸はいつまでも興奮を忘れず、それに比例するかのごとく足早になっていく。     店から出た。     同時に腹の底から喜びが沸き上がってきた。   足をとめずに、心の中で何度も繰り返す。       やった。 やった。 自分ひとりでこれほど高価なものを、ただで手中におさめることができた。 自分は、いつまでも母親に縛られているような男ではないのだ。       そして人ごみに紛れようと一歩更に強く足を踏み込む。           手首を誰かにつかまれた。    
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