2822人が本棚に入れています
本棚に追加
龍野はつられるようにそちらを見る。
店の前に立っている短髪の男が、龍野達に向けて口元を柔らかく持ち上げていた。
その男は寒がりなのか、もう春も近いのに分厚いコートを羽織っている。
年齢は二十代後半といったところか。
容姿は可もなく不可もなくという言葉がぴったりだ。
すごく綺麗な顔立ちだと評価する人間もいなければ、不細工だと罵る人間もいないような顔。
ただし瞳はどこか挑発的で、光を放っている。
男はその強い眼光で、店員の目を真っ直ぐのぞいて逸らさない。
なかなか物怖じ無い性格をしているようだ。
最初のコメントを投稿しよう!