暗転、そして急転

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    龍野はつられるようにそちらを見る。   店の前に立っている短髪の男が、龍野達に向けて口元を柔らかく持ち上げていた。   その男は寒がりなのか、もう春も近いのに分厚いコートを羽織っている。   年齢は二十代後半といったところか。   容姿は可もなく不可もなくという言葉がぴったりだ。 すごく綺麗な顔立ちだと評価する人間もいなければ、不細工だと罵る人間もいないような顔。 ただし瞳はどこか挑発的で、光を放っている。     男はその強い眼光で、店員の目を真っ直ぐのぞいて逸らさない。   なかなか物怖じ無い性格をしているようだ。      
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