暗転、そして急転

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      龍野は母子家庭で育った。 彼の小さい内に両親は離婚し、それから母が死に物狂いの努力をしたおかげで、今龍野はこの場に立っている。       しかし、龍野は彼女を快く思ってはいなかった。 母としては立派であったと思う。だが、彼女の人柄を好きになることは出来なかったのだ。 押し付けがましい愛情と、学歴社会を重んじる思考回路。まだ十五歳の龍野が、反発を覚えないはずがない。       だから龍野は、駅の近くにあるショッピングモールの休憩所のベンチに腰掛けながら、思わず吐き捨てた。       「あんたの言う通りにやったら合格出来るんじゃなかったのかよ」      
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