神の声

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「だって、こうしたほうがなすびのダシが取れておいしそうじゃん!」 「なすびのダシなんて聞いたことねぇーよ!」 「だから、これから取るんだってば」 「丸ごと煮たってな、半煮えのなすびしかできねぇーよ!」 俺は彼女をコンロの前から押しのけた。 「俺がやるから、お前はTVでも見てろ」 「いい、私やる」 「ったく、あちっ」俺はなすびを煮えたったナベから取り出すと、まな板の上に置いた。 熱さと奮闘しながら、なんとかなすびを切り刻み、素早くナベに戻す。 不満気に彼女が見守るなか、俺はダシの元とワカメと刻んだ豆腐を入れて火を止めた。  
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