魔王 その にぃ

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「勇者、これ忘れてますよ」 そう言って戦士は勇者に冊子を渡した。 僧侶が勇者にコソコソと優しく耳打ちした。 「ダメじゃないですか、フィナーレ間近なのに」 勇者はペラペラと冊子をめくり、目的のページを見つけると魔王にズビシィッと指を指して言った。 『ぇと、魔王!・・・今日こそ、お前をーーー、・・・』 「[たおし]ですよ、勇者さま」 勇者の読めていないところをそっと耳打ちをする優しい僧侶。 『うむ、たっ倒し、しっ、し、・・・』 顔を真っ赤にして勇者はうつむき出し、しまいにはブツブツ俺様に聞こえないぐらいのボリュームになってしまった。
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