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結局隼人は何度聞いても答えてくれず
とうとう遠足当日になった。
「青い空、蒼い海。
…………綺麗だねぇ…」
のんびりおっとりした口調で律が言った。
俺と隼人は即頷いた。
『神の別荘』と呼ばれるこの島は
その名に恥じない程綺麗な景色を広げていた。
澄み渡る空は寛大で、
透き通る海は優しくて、
太陽は微笑むように俺たちを照らし、
白い鳥は自由を舞い、
緑の草木は歌を歌う。
そんな陳腐な台詞回しでもこの綺麗さは表現できないほどで、
俺たちは感動して山の斜面から眺めていた。
「さて…行こうか」
俺たちはその景色を瞳に焼き付けて
また鐘探しを再開した。
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