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寮に入ると言うことは、簡単には遊べなくなると言うこと。
一緒にいられないと言うこと。
俺は正直反対したかった。
ただですらあまり一緒にいられないと言うのに、寮に入られたらたまったものじゃない。
けれど俺は反対できなかった。
…学校見学の翌日に、
瞳を輝かせて学校の話をされては。
離れることを覚悟するための期間のように、
慧(と兄貴)にとっては残り少ない学校生活は中身が濃く、且つ早く過ぎていった。
雪が降り、
命日が来て、
受験を越して…。
受験から一週間後、
慧と兄貴に合格通知が届いた。
慧も、兄貴も泣きそうに笑っていた。
幸せそうに笑う2人をみて、俺が泣きそうだった。
そしてまた時が流れる。
早咲きの桜が咲いていた。
そして卒業式が来た。
別れの時が来た。
ついに俺は決心した。
「慧!」
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