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「―…奪い去って」
僕は見上げながら呟く。
「…僕の…全てを奪い去って!」
美しい天使に縋るように…祈るように。
それが唯一の望みであるように、乾きかすれた声で訴えた。
「嫌だねっ!」
一瞬世界が止まる。
自分の五感を疑った。
張り詰めた彼女の
冷たい空気が僕を支配する。
「お前は生きるんだ!」
神の判決の如く上から声が降る。
「そしたら私が連れ去ってやる!」
その一言で、僕の心に
新しい感情が芽生え始めた――。
「どうする?」
彼女は淡々としているのに、泣きそうな…怒りに近い雰囲気に包まれている。
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