story 1:痛み

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「―…奪い去って」   僕は見上げながら呟く。   「…僕の…全てを奪い去って!」   美しい天使に縋るように…祈るように。 それが唯一の望みであるように、乾きかすれた声で訴えた。   「嫌だねっ!」   一瞬世界が止まる。 自分の五感を疑った。 張り詰めた彼女の 冷たい空気が僕を支配する。   「お前は生きるんだ!」   神の判決の如く上から声が降る。   「そしたら私が連れ去ってやる!」   その一言で、僕の心に 新しい感情が芽生え始めた――。   「どうする?」   彼女は淡々としているのに、泣きそうな…怒りに近い雰囲気に包まれている。
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