CASE 1

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  そしてそれから数日…   この日は預かる子供が少なく、乳幼児と結菜の二人だけだった。   他のスタッフにも絵の事を話して、気にかけてくれるようにお願いはしていたが、結菜には知らないふりを、特別な扱いをしないようにしてもらっていた。     他のスタッフが奥の部屋で乳幼児をあやしている時、私は結菜と数字やひらがなを書いて勉強というか遊んでいた。   そしてそのついでとばかりに… 「結菜に佐和と結菜が仲良く並んでる絵を描いてほしいなぁ♪」と言ってみた。   心配する私をよそに、結菜は「いいよー、可愛く描いてあげるからね♪」と言って早速描き出した。     この間と同じく自分からではなく、私から描いてくれる。 丸の顔に長い髪を、エプロンにはハートのマークを。     私を描き終え、結菜が自分を描き始める。   おおよその輪郭が描けたところで、私はわざと席を立った。 「ちょっと赤ちゃん見てくるから、可愛く描いといてね♪」と言葉を残して。  
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