CASE 1

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  結菜は色鉛筆を握ると、やはり母親から描きはじめた。   母親の仕事着(ドレス)がイメージに強いのか、一番綺麗な姿だと認識しているのか、まあ女の子の描く絵にありがちといえばありがちだが、お姫様のようなドレスを描く。   色使いも赤やピンクや黄色の暖色系で鮮やかに。     そしていよいよ結菜自身の絵に取りかかる。   !!! ちっちゃ!!   母親のバランスに対して、結菜が描き出した自分の顔の大きさが小さすぎる。   母親の顔の大きさが直径7~8cm程度だとすると、2cmほどであろうか。 大人と子供とはいえ…さっき私とを描いてくれた絵は、私より結菜が若干小さいぐらいだった。前に黒く塗りつぶした時もこんなに小さくなかった。     「結菜、これ小っちゃくない?」と私が聞くと…   「いいの!」と黙々と描き続けた。     私は…今度は最後まで見守ることにした。  
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